2000年代の中頃でしたでしょうか。
70年代のようなラインのお洋服が、ファッション「回帰」してきたことがありました。
その70年代に青春を送った私の母は、それこそ鬼の首をとったかのような勢いで
タンスの奥から「リアル70年代のお洋服」を引っ張り出してきました。
「やっぱりね~、ファッションはめぐりめぐって来るって本当だったのね~!
このワンピースとっといて正解だったわ!●ちゃん(私です)これ着ていいわよ」
「え…お母さん、自分で着ないの?」
「ヤダ―、お母さん若い頃と体型が変わっちゃって着れないのよ!
言わせないでよそんなこと!」
と、半ば強引に着せられたワンピースでした。
確かに、一見世間で流行しているシルエットなのですが、
何をどうしても着心地が悪いのです。
その場ではありがとう…と言い、何回か無理に着ていたのですが、
そのうち着心地に疲れ果ててしまい、
70年代ワンピースは今度は私のタンスの中で眠りにつくことになったのです。
その後、
市販されている流行の「70年代風ワンピース」を店頭で試着してみたことがありました。
素人の目には、母の「リアル70年代ワンピース」と同じような
印象だったのですが、着心地は雲泥の差。
シルエットこそ「70年代風」であっても、
生地の伸縮性や機能、そして現代女性の平均サイズから割り出されたつくりは、
間違うことなく「2000年代」だったのです。
この一件からわかるように、ファッションが回帰することは本当にありますが、
それは確かな「進化」の上になされているのであって、タイムトラベルが起こるわけではないのです。
一時期流行ったものを、流行遅れになったから処分する…
というのは断捨離の中でもよくあるプロセスです。
「でも、そのうちまた流行るだろうから」ととっておく人もいるのですが、
これはあまり賢明とは言えないのですね。
「もう恥ずかしくて着られないな」と感じるものに対しては、
長期保存の手間ではなく、処分の道を選びましょう。